第161章 ピアニスト

川西拓海は手元の案件を片づけるや否や、ランティンへ顔を出した。

もっとも、皆わかっている。彼の本当の目的が、水野佑奈のそばにいるためだということを。

エレベーターを降りた瞬間、会議室の灯りが目に入った。

朝会でもやっているのだろう、と拓海は反射的に思い込み、スマホのメッセージに返信しながら扉を押し開ける。

顔を上げた、その先にいたのは――見知らぬ女性だった。

簡素な白いワンピース。肩に流れる長い髪。柔らかな雰囲気。

両手で履歴書をぎゅっと握りしめ、瞳には緊張と期待が入り混じっている。

入口の物音に、谷口奈緒はぱっと立ち上がって振り向いた。

来るのは女性だと決めつけていたのか、...

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